大辞林第二版 ・ デイリー 新語辞典 α と 広辞苑 第一版 第五版での家族に関わる見出し語を中心に日本における 家族 に対する意識の変化の一面を分析した結果、次のような内容がまとめられた。一、現代日本語での 家族 は狭義には構成メンバーを、広義には構成メンバーと生活する場所を含んでおり、 家族 と 家庭 は明確な区別のないまま用いられたりするが、 広辞苑 第五版と 大辞林第二版 では、第二次大戦後の新民法で制定された一組の夫婦と未婚の子だけから成るいわゆる 核家族 が 家族 の基本型であり、 家庭 はその家族が共に生活する所であると記述している。一、両親と、跡取りである一組の子夫婦およびその子から成る家族で、跡取りが世代的に受け継がれる 大家族 という家族形態から一組の夫婦と未婚の子だけから成る 核家族 に家族単位が変化し、家族の成立条件も 血縁関係 から 親族関係 に変化したことがわかる。なお、親族関係は夫婦の配偶関係や親子・兄弟などの血縁関係によって結ばれると記述されている。これは ステップ ファミリー ステップファミリー など、血縁のない親子関係が大量に産み出されたことを表すものである。 血縁関係の成立要素 として 婚姻 が記述されるのは 広辞苑 第二版までであり、三版以下では見えない。一、 戸主 主人 と言う人物が中心となる旧家族制度からの変化を現わす構成メンバーそれぞれの人格の尊重、愛情と信頼関係によって成立していると考えられる近代家族 や 友だち夫婦 とも呼ばれる ニュー ファミリー が登場する。 未婚 既婚 など結婚は当たり前のものであるという考え方とは異なる生き方として結婚しないことを主体的に選択する 非婚 と独身者、特に、二 代から四 代で結婚しない人々を表す シングル シングルズ 、 シングル の状態で親となる未婚ママ シングルマザー シングルママ シングルパパ などが新語の見出し語になる。なお、 老人ホーム に関わる多数の新語から最近日本で社会問題化している深刻な高齢化現象が確認でき、 ナーシングホーム グループホームアシステッドリビングホーム のような福祉に 介護 などという医療サービスが含まれる施設の増加や 全室個室でユニット ケア 少人数用の生活単位ごとに介護する方式 という日本の高齢者共同施設に対する政策の方向がわかる。